腹黒司書の甘い誘惑
わたしが乗っていた椅子から斜め後ろの本棚に寄りかかり、わたしを抱いている柊也さん。

この状態からして、彼がわたしを抱きとめてくれたの?

状況を理解したわたしは焦った声を出した。

「わっ、あっ、すみません!」

「背中打った。痛い」

「えっ!? やだ、どうしよう大丈夫ですか!?」

わたしはくるりと腕の中で慌ててまわり、柊也さんと向かい合う。

すると、下から見ることになった柊也さんに思わずどきっとしてしまった。

アングルによってさらに男の人特有の色気が増している。

どきどきして、見つめたまま動けなくなってしまった。

「怪我ない?」

「え、あっ、はい。わたしは大丈夫です。すみません、あの、ありがとうございます……」

「本当に。心の底から俺に感謝しろよ」

柊也さんは溜め息混じりにそう言った。

まだ柊也さんの腕が腰のあたりにある。
それを意識して、体温が上がってくる。

堪らず、わたしは顔を下に向けた。
頬が熱い……。

すると腰にまわっている腕に力が入って、驚いたわたしは赤くなっている顔を上げた。

そんな風に力を入れられたら、嫌でもどきっとしてしまう。

じっと見つめられて、さらに熱が上がっていくようだった。

うそ。この状況――

「なに顔赤くしてんの。いいからそろそろ退いてくれる? 重たいから」
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