おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「真子、さあ。

彼氏、つくりなよ」



この一年間で、何度も何度も言われたこと。



香苗はまた、おなじ言葉を言う。


だから私もまた、おなじ言葉を返す。



「うん。いいひとがいたらね」



香苗はいつもとおなじ反応で、ふうっとため息をついた。



「またそうやってはぐらかすんだから。

………私と会えなくなったらどうするの?

ひとりでいられるの?」



「…………」



「こういう言い方したら、あれだけど。

誰でもいいから付き合っちゃいなさいよ。

この前、同僚に告白されたんでしょ?」



「………うん、まあ」



「それでどうなってるの? いま」



「………断った」



「もう! で? それで終わり?」



「いや、なんか、待ってるって言ってくれてて」



「そうなの! よかった。

じゃあ、とりあえず、その人と食事でも行ってみたら?

悪い人じゃなかったら、付き合ってみればいいじゃない」



「………」



「そうしたら、さびしさ紛らわせるよ。

そうやって一緒にいるうちに、だんだん好きになるかもしれないし」



「………うん、そうだね。考えてみる」



香苗があんまり必死になってくれるから、申し訳なくなって、私はそう答えた。


でも、香苗にはそれが伝わったみたいで、やっぱり険しい顔をしていた。




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