おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「…………トラ」




言葉が、ひとりでに唇からこぼれた。




「トラ………トラ」




この一年間、ずっと封印していた気持ち。



この名前も、絶対に口に出さなかった。



それでも、どうしてだか、今夜は自分の気持ちがおさえられない。



どうしても、その名前を呼びたい。



あのころ、私の中の宝物みたいな日々のなかで、

毎日毎日、何度も呼んでいたのとおなじように。




「トラ」




こんなにも唇にしっくりくる名前。



そんな名前には、もう二度と出会えない。




ほかのだれでも、だめだった。


トラじゃないと、だめだった。




私を好きだと言ってくれる人だとしても。


それでも私のさみしさをまぎらわせてくれることはなかった。


私の心を動かすことはなかった。




私が呼びたい名前は、トラだけ。


一緒にいてほしいのは、トラだけ。



たとえ、私のものにはなってくれない人だとしても。


他のひとと人生を歩んでいる人だとしても。




「会いたい………」




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