おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
戸惑いを隠しきれない私に、トラがゆったりと微笑んだ。


優しい笑みの形になった唇が、うすく開いて、言葉をはきだす。




「―――好きだよ。


うさのことが好きだ。


会えないかもしれなくても、ふたりで過ごした場所に通い詰めてしまうくらい、好きだ」




私は口を開いたまま、なにそれ、と呟いた。


そのつぶやきは声にならなくて。




「………なにそれ、どういうこと?

トラが、私のこと、好き? 本当に?」



「本当だよ。

うそなんかつくはずないだろ?」



「信じられない………」




私は確かめるようにトラの目をのぞきこむ。



そこには真摯な色が浮かんでいた。




「………いつから?」




無意識のうちに、口から飛び出した問い。




「いつから私のこと………」




するとトラが何かを思い出すように視線をななめにあげて、首をかしげた。




「いつから、か………ちょっとむずかしい質問だな。

でも、たぶん、最初から」



「最初?」



「そう。出会ったころから」



「出会ったころって………会社に入ったころだよね」



「うん、そうだよ」




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