おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
出会ったころから、好き?


やっぱり信じられない。



ラララ不動産に同期として入社したころ、トラと私にはほとんど接点がなかったはずだ。



トラは入社してすぐに、営業部のホープとして有名になって。



私は営業の人たちとは一緒に仕事をすることもなくて、

たまに接点があるとしたら、
彼らが出した伝票を受け取って処理したり、
彼らがお客さんと商談をしているときにお茶を出したり、
お客さんへの手紙を発送したりするだけ。


だから、トラとも、ほとんど接触したことはなかった。



同期メンバーで飲み会をすることもあったけど、トラとはいつも席が遠くて。


仕事の話以外で、個人的に話をするようなことは全然なかったのだ。



それなのに、私のことを好きになるなんて、考えられなかった。




「はじめは、仕事ぶりを見てて、印象に残ってたんだ」



突然、トラがそう言ったので、私は考えるのをやめて顔をあげた。



「いつも仕事がきっちりしてて、すごいなって。

早め早めに仕事してて、書類の整理が几帳面だったり、あとは、伝票の提出が遅いやつとかに、かなり厳しめに催促してたからさ。

若い女の子なのに、年上の社員にも臆せず言いにいってて、すごく仕事できるなっていうのと、この子は信頼できるなって思ったんだ。

だから、印象に残ってたんだよ」




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