おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「うさに説教されて、反省して。

それから、すこしずつ、まわりと話したりするように心がけたんだ。


そしたら、うさの言ってた意味、すごく分かるようになった。


世間話とかすることで、まわりの性格とか人間性とか分かるようになって。

そうすると、仕事の話とか頼みごととかも、しやすくなるんだよな。

自分とはちがう意見を聞くと、ああこういう見かたもできるのか、参考にしてみよう、とか思ったり。


それにさ、会社の仕事って、一人ひとりが個別にやってるわけじゃないから、

独りよがりで勝手に働いてればいいってもんじゃないんだって。


相談したり愚痴ったり、逆に愚痴を聞いたりすることで、新しい発見があるんだって知った。


一人で突っ走って仕事するんじゃなくて、個々の社員が協力しあってこそ、会社はうまく回るんだって、

うさのおかげで分かったんだ」




トラは言葉をきって、真顔でじっと私を見つめてきた。



その近さに、目線の真摯さに、心臓が痛いくらいに高鳴る。




「ありがとな、うさ。

感謝してるよ」




どう返せばいいか分からなかった。



トラはかまわずに微笑み、さらに続ける。




「それからだよ。

うさのこと、気になって気になって仕方なくなって。

気がついたら、いつもうさのことを見てた」



「うそ、ぜんぜん知らなかった」



「そう? まあ、俺、外面いいからな。

自分の本当の気持ちごまかすの、うまいんだよ」





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