おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「だから、諦めてたんだよ。

どんなにこっちが気に入ってても、お前は俺にこれっぽっちも興味がなさそうだったし。

飲み会でもふつうに彼氏の話してたからさ、同棲してるとか言うし、これはもう結婚するつもりなんだろうなって。

だから、諦めるしかないじゃないか」




トラはそこで、「でも」と声色を変えた。




「一年半前の、あの日。

たまたま友達と飲んだ帰りに、酔いざましにぶらぶら歩いてたら………。

見覚えのある人影が、へんな格好して、大荷物もって、捨てられた猫みたいに座り込んでるのを見つけた」



「それって、まさか………私のこと?」




トラが、そうだよ、と微笑む。




「うつむいて縮こまってたけど、一目見て、すぐにうさだって分かったよ。

だって、毎日毎日、こっそり見てたんだから」




なんか、その言い方、ちょっとストーカーみたいで、誤解を招くおそれがあるけど。




「だから、あわてて声をかけた。

そしたら、わけあってホームレスとか言うから、すぐにわかったよ。

お前が振ったか、彼氏に振られたか、どっちでもいいけど、とにかく彼氏と別れたんだって。


正直、『よっしゃ!』ってガッツポーズしたくなったな」




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