クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
五十嵐の顔を見ながら彼女のプライドを傷つけないようさらっと告げると、俺は彼女の手をそっと外した。

腕時計にチラリと目をやると、四時五十七分。

そろそろ空港に向かわないとマズイか。

「それじゃあ、夕食も付き合ってくれないのね」

すねるように言って五十嵐が眉をしかめる。

「ああ。彼女が家で待ってるからな」

今日はひよこの誕生日。履歴書に書いてあったのを記憶していた。

絢香に言って、ひよこには真っ直ぐ家に帰るよう伝言を頼んでいる。

ひよこが自分の誕生日を覚えているかどうかは微妙だが、絢香にケーキとシャンパンを頼んでおいたからさすがに今は気づいているだろう。

「彼女ってあの子でしょ?昨日、ミーティングルームにコーヒー持ってきた」

「ああ」

俺は否定せずに素直に認める。
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