クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
言葉で否定はしても、私が狼狽えているのは朝比奈先輩にはバレバレのようで……。

「嘘つきだな。その動揺の仕方。図星か、ひよこ」

朝比奈先輩の表情も後ろにいて見えないのに……今、先輩が笑ったような気がした。

手は冷たいのに、朝比奈さんに耳元で囁かれて顔の熱が一気に上がる。

どうしよう。この状況じゃ逃げられない‼

「すぐに冷やしたし大丈夫だとは思うが、医者に診てもらった方がいい」

朝比奈先輩は水道の蛇口を止めると、私の手をつかんで注意深く観察する。

「……はい。ありがとうございます」

朝比奈先輩と目が合うのを避けながらお礼を言うと、彼はそんな私の様子を見てクスッと笑った。

「本当にひよこみたいだな」

朝比奈先輩はズボンのポケットからブランドもののブルーのハンカチを取り出すと、私の手を丁寧に拭う。
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