クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「レインブーツ履いてくれば良かった」

ボソッと呟きながら駅の改札の前でバッグをあさるが、スマホが見つからない。

「……嘘。会社に置いてきた?」

立ち止まってバッグの中を調べるが、スマホはどこにもなかった。

またあの道を戻るの?

深い溜め息をついて、ガックリと項垂れながら踵を返して会社に戻る。

道路は川のように水が流れていて、会社に着くのに普段の倍の時間がかかった。

オフィスに戻ると、織田君たちももう帰ったのか姿は見えない。

部屋にいたのは……今一番会いたくないあの人。

ドアの前で固まっていると、私の気配に気づいた朝比奈先輩が振り返った。

「ひよこ?忘れ物か?」

朝比奈先輩も少しスーツと髪が濡れていたが、私の比ではない。
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