クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「……朝比奈先輩、ひとりで入ります。ひとりで入らせて下さい!」

ひよこの手が俺の手を掴んで止める。

最初から素直に入れば良いものを。ったく世話の焼ける。

だが、ひよこの扱いが段々わかってきた。優しい言葉では彼女は俺には従わない。遠慮して俺から必死で逃げようとする。

「外は嵐だ。勝手に逃げるなよ」

クスリと笑ってひよこの頭に手をポンと置くと、俺は彼女を残してバスルームを後にした。

それから、自分の寝室に行き濡れた服を着替えると、ひよこの着替えを持ってバスルームに戻る。

一応軽くノックしてから中に入ったが、ひよこはシャワー中で気がつかなかったらしい。

「ひよこ、着替えは籠の中に入れておく」

俺の声に驚いたひよこの動きが止まり、彼女は小さく返事をした。

「……は、はい」

震えるひよこの声。
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