愛の胡蝶蘭<短編>
蒸し暑い季節だから、


足に伝わる、水の温度が気持ち良い。


『雄っ、』


私の手を引いている彼が、振り向いた時に片方の手で水をかけた。


「うおっ、冷てえー!」


彼の笑った顔を、焼き付ける。


変わらない、あの頃のまま。


何も変わらない、雄がいる。






『ははっ、気持ちいいね。』


「蘭っ!!」








海で遊ぶなんて、いつぶりなのか。


お腹空いたことさえ、気付かないぐらい。


雄と、はしゃいだ。


幸せな、時間。



『雄、』


散々はしゃいだ私達は、砂浜に並んで座る。





私は、忘れていたんだ。





時間は、永遠なんかじゃなくて。





彼の、
゛雄゛の、時間は、
一日だけだってこと。




「ねぇ、蘭、」


優しい彼の声が、潮風と共に届いた。



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