愛の胡蝶蘭<短編>
雅の腕の中、ぎゅつと目を瞑った。


懐かしい雅の香りがする。


それは、一瞬で消えていった。



目を開ければ、


雄の香りはもうしなくて。


『………和、』



和の、香りがした。



夢、だったのかもしれない。


………ううん、それでもいい。



久しぶりに触れた、雄の熱も。


久しぶりに感じた、雄の香りも。


確かに、あったから。



「ら、ん、…?」



『夢見てたのかも、しれない、私。』


「そう、ですね……俺も、」



見てたのかもしれません、そう言った和の瞳は、少し濡れていた。



『私、』



『私ね、ずっと、』




『雄が、好きだったの。』



和の瞳が、揺れた。


「知ってました、よ。」






私の、視界が揺れた。

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