先生と私


まずい。


どうしてそんなことバレてるんだ。


生徒ってこんなに先生を監視してるものなのか。


いや、それより、あの子がわたしのことを好きって……


やっぱり聞き間違いか……


「ゆい、本当に先生のことが好きなんです」


「…………」


今度ははっきりと聞こえた。


聞き間違いじゃない。


「あ、このこと知ってるのはわたしだけなんで大丈夫です。先生がどうするかも自由なんですけど……ただ……」


「…何ですか」


「………ただ……もしも先生が、片想いだと思って伝えないままにしてるなら……なんだかもったいない気がして…」


「………」


「教師と生徒だからとか、そういうのも色々あると思うんですけど、その……」


なんだか彼女はすごく一生懸命に見えた。


どうしてこんなに頑張っているんだろう。


………ああ。あの子のためか。


あの子のことが、きっとすごく大事なのだろう。


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