【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
タクに触れられると、この溢れ出す、決して知られては行けない気持ちがその指先に伝わりそうで怖い。


なのに、一生懸命蓋をして、鎖で固めて、鍵を閉めても間に合わないくらい沢山、沢山溢れ出るんだ。


「美姫……?どうかしましたか?もしかして、触られたのが嫌でしたか?すみません。彼氏のいる女の子に、馴れ馴れし過ぎましたよね」


タクは黙っている私に困ったように眉毛を下げると、まくし立てるように言葉を紡いで慌てて私から手を離す。


けれど、その大きな掌が離れるのが嫌で、私は両手で掴み、タクを引き止める。


もう、止まらない。我慢なんて出来ない。だって私は、子供で、女で、タクを好きなだけの人に成り切れない生き物だから。


「み……き?」


驚き固まるタクに、止まらない私はスローモーションのように近付き、そして、タクの唇と自分のそれを、そっと重ねていた。


触れたそれは至極柔らかくて、下唇を甘噛みしてその柔らかさを脳裏に刻む。
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