【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ



大喜さんとの話も終わり、待たせていた惣次郎を呼びに再び休憩室に向かう。


「お疲れ様です。今日はもう上がって良いですよ。蒼次郎君とのデートもあるでしょう?」


相変わらず今までと対応の変わらないタクに、胸がしくしくと痛む。どうしてそんな平気な顔で私と話せるのって聞きたくなる。


けれど、そんなことを顔に出してしまってはいけない。タクとの関係を絶たない為にも。


「……ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えて。行こ、蒼次郎」


向こうでいつの間にか仲良くなったらしいテツと話し込んでいた惣次郎に声をかける。


蒼次郎はそれに対して小さく頷くと、テツに何か一言挨拶し、私の方へ駆け寄って来た。


出て行く私達を複雑そうに見守るのは、大喜さん。そして、きっと穂純さんにも察されてるのだろう。


タクは私と蒼次郎が出て行く最後の瞬間まで本音が一つも分からない顔でこちらに微笑んでいる。


いや、もしかしたら本当に何とも思っていないのかも知れない。私を抱いたのはあの『なんでもお願い券』のせいで、彼にはどうって事の無い出来事だったのかも知れない。
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