【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ



会いたくて、ただ会いたくて堪らなくて、だけど……会っちゃいけなくて。


先走っていた気持ちが冷静になって行き、私はウェディングドレスの飾られたショーウインドーの前で崩れ落ちた。


走り出したい私の気持ちを、それでも冷静になってしまった私の脳裏に蒼次郎の切ない顔を映して凍らせて、止める。


冷たいアスファルトから、じん、と温度が伝わって、タイツ越しに私の脚が痛む。


まるで今の自分の気持ちみたい。痛くて、冷たくて、どこか苦しいんだ。


そんな私に追い撃ちをかけるように、ひらり、と白く冷たいものが舞い降りる。


花びらのようなその冷たい欠片は身体や地面に降り立つと、命を失うように消えて行く。


タクに出会ってから、私は弱虫になったのかな。冷たい雪の花びらが降り注ぐ白の世界を見つめて、そっと涙を流した。


こんな訳の分からない涙、今すぐにでも止めたい。そう思って夜空を見上げると、星は変わらず精一杯瞬いていた。


願いが届くなら……どうか、タクに会わせて。こんな私の願いでも叶えてくれるサンタクロースがいるのなら。
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