【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
星空と雪の花びらを見上げていた私だったけど、その視界はふと、真っ暗になった。


あんなに精一杯瞬いていた星達は私の元から去って、雪の花びらは私を避けるように地面へと舞い降りている。


目を細めると、星空や花びらを視界から消し去ったのは、銀色の骨組みが張り巡らされた布……どうやら、傘のようだ。


「なにやってんだよ、小娘。こんな所に座って迷子か?」


その低い声は、タクの優しいものとも違い、蒼次郎の独特の掠れた声とも違うものだった。


振り返ると、少しきつい風貌には不釣り合いなくらいベビーフェイスな漆黒の瞳の持ち主。普段のサングラスや色付きの眼鏡をした顔しか知らなかったから、こんな顔だったなんて初めて知った。


「零、さん」


「お前、俺の嫁じゃあるまいし馬鹿じゃねえだろ?風邪引くぞ?馬鹿じゃない奴は大抵風邪は引くもんだろうが」


ふん、と鼻を鳴らし笑った零さんは、私の腕をぐっと掴み立ち上がらせた。
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