【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ



「……んん」


なんか、尋常じゃなく頭が痛い。体も重たいし私、さっきまで何、してたんだっけ。


「美姫?大丈夫ですか?」


「タ……ク?」


まだ頭の中がふわふわとする中、状況が掴めず混乱する頭。


確か……そうだ私、泣いてるところを零さんにマンションに拾われて、それで……あれ?そこからが分からない。


「零さんから連絡があったんですよ。ゴローのお酒を間違えて飲んだんですって?一気に、豪快に」


ああ、そうだった。それで気分が悪くなって。


「あの、だけど、なんで……?」


「だから、零さんから連絡があったのですよ。『うちじゃ若い衆が騒いでるからお前、引き取りに来い』ってね」


そうか、だからタクが目の前にいるんだ。気をきかせた事に気分を良くしてニヤニヤしている零さんの顔が、簡単に思い描ける。


「全くもう、たまに出るその大胆行動に、僕はいつもヒヤヒヤさせられる」


呆れた声のタクだけれど、表情は甘く柔らかく、これが仮面だなんて思えない優しさに満ちている。
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