【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「この間は、ありがとうございました。タクのおかげで、ようやく母と本当の意味で親子になれたと思うんです。タクにぶたれなかったら、きっと気付かなかった」


美姫の言葉に、僕は少しの冷静さを取り戻して少しホッとする。


あれからずっと気になっていた事だったし、良い結果になったことが分かり、僕の心は軽くなった。僕のエゴは、少しだけ美姫達親子の役に立った。


そうして安心しているのも束の間、美姫は言葉に迷う事無く話を進める。


「それで、そのことがあって私、色々考えたんです。いつまでも前に進まない私のせいで、沢山の人を傷付けている。だから、私は前に一歩、二歩、歩んでみました」


「それで、蒼次郎君に別れを?」


「ええ……でも、最終的には蒼次郎にまた救われた。どう考えても私が別れを告げるべきだったのに、最後は蒼次郎が言ってくれた。自分が傷付くのも厭わずに」


僕の問いにこくっと頷く美姫。美姫はこの数日で、お母さんや蒼次郎君の事を解決し、自分で強くなっている。


僕の手助けなんか必要無いと言わんばかりに、美姫の表情は輝いていて、軽やかだ。


美姫の笑顔は心から望んだ事なのに、願った事の筈なのに、胸がしくしくと痛み、涙を流す。何故なのでしょう。
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