【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
恰好悪いけれど、それでも、全てを包み隠さず告げよう。君がそうしてくれたように。


「でも、君の温度と溶け合って、一つになった時、僕の想いは溢れ出して、止まりませんでした」


僕のその言葉を聞き止めると、美姫はおもむろに振り返り、僕の顔を見上げて口を開く。その顔は、今にも涙が零れ落ちそう。


「……もしかして、私の耳を塞いで言っていた『ごめん、愛してる』って、穂純さんへの言葉じゃなくて」


今度は、美姫の言葉に僕が驚いた。よもや、あの時の必死な美姫がその一部始終を見聞きしていたなんて思っても見なかった。


「気付いて、いたのですか?」


「何かを言ったのは一度目の時点で分かっていたので。それで、クリスマスの夜、タクの唇の動きを目で追って……私、あの時は穂純さんの身代わりだと思っていたから黙ってて」


少し困ったように言う美姫に、僕は力が抜けて美姫からするりと離れた。


そのままへたり込み、顔を両手で覆うと顔が熱い。


は……恥ずかしい。これはあまりにも恥かし過ぎる。


だって、バレないように耳を塞ぎ、君の意識を逸らすためにわざと激しく攻めながら言っていた君への想いをしっかり見聞きされていたなんて、恥ずかしい以外の他無い。


ただ、君を穂純の代わりにだなんて思われていたのは心外だ。僕は、もう君しか見えていなかったのに。
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