【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
そんな僕の肩へ、美姫の柔らかな女性らしい、少し深爪指先が触れる。その震えた指先が触れたら、また、君をぐちゃぐちゃにして、君への想いを叫びたくなる。


「ね……タク、信じていい?さっきの言葉。貴方が私を、その」


見上げると、僕を直接見れないのか、目を反らす美姫。


信じられない、と言った表情。彼女にこんな顔をさせているのは紛れも無い僕自身。それが、こんなにも嬉しい。


こんな顔も美しい。憂いを帯びた美姫に、沈み始めた太陽の光がかかる。


僕が見て来た女性の中で、こんなに壊れてしまいそうで、守りたい女性がいただろうか。


穂純は違った。彼女は強くて、眩し過ぎるそんな魅力があったけれど、美姫の彼女に無い魅力が、全く違った愛情を生み出す。


比較対象にしている訳じゃない。そもそも彼女と美姫は僕にとって全く別種の存在だと思えるんだ。


僕は不覚にも涙が出そうな自分がいることに気付いた。


それを美姫に隠すように、美姫の指通りの良い髪の毛に触れ、そのまま後頭部まで手をやると、ぐっと引き寄せた。


なんて温かな温度を持った人なのだろう。この温もりを僕の中に閉じ込めてしまいたい。僕は案外欲張りで、独占欲の強い男だから、離したくない。
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