【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ



デザイナー兼スタイリストの美琴さんが選んでくれたらしいイエローのドレスを身にまとい、ヘアメイクアーティストのゴローさんに習ったとタクが施してくれたヘアメイクで、私は混乱した頭のまま、タクの車でどこかへ向かう。


「あの、えっと、あの……?」


ごちゃごちゃ考えても、これから何が起きるか全く分からぬままの私。


その状態のまま車が目的地に到着し、オロオロしたままの私に、鍵を抜いたタクがにっこりと微笑み、そして、すっと首を傾けてキスを落とした。


「良いから、落ち着いて。君は後数分で泣く事になりますから、それまでは落ち着いていて下さい」


あまりにもスマート過ぎたそのタクの一連の動作に、私は混乱していた思考さえ固めてしまう。


「た、タクはどこでそんな技を磨いて来るんですか?」


「企業秘密。大人ですから、君より無駄な経験は積んで来ているんですよ」


私の口から少し付いたグロスを親指で拭ったタクは、そんなキザな言葉でその場を締めくくり、先に車を降りて私の方のドアに回り、そのドアを開いた。


「さぁ行きましょうか、お姫様」


出会った頃から変わらない。タクは私にとって世界で一人の王子様。背広を羽織った王子様。
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