【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
そんな王子様に連れられて着いたのは、小ぢんまりと佇む、まるで絵画の世界のような教会の前。


「ねぇ、タク、もしかして、今から本当に?」


「おや、言ったでしょう?お義母さん達の式を挙げると」


確かにさっき、私の寝起きざまにそう言ったけれど、でも、信じられないよ。


重たい扉をタクが開くと、席数のそんなに多くない木の座席、一番奥には光指す火を浴びて色とりどりに光を放つステンドグラスの窓と、祭壇と、大きな十字架が目に飛び込む。


息を呑むような光景に瞬きすら忘れていると、さっき私達が入って来たその扉が再び開く。


そこから入って来たのは、純白ではないけど、しっとりと落ち着いたオフホワイトのドレスを身にまとった母と、その母の手を取り歩く正装をした義父、それから、母のヴェールを持つ少年、私の義理の弟。


「すみません。式場と衣装しか手配出来ませんでしたから、結婚式というには少し物足りないかも知れませんね」


そんなタクの言葉に、私はせっかく綺麗にした髪を振りかぶり、否定する。


「そんな事無い。……綺麗。綺麗、です」


「……ええ。とても」


タクの言った通り、メイクが取れてしまうのも気にせず涙を零す。


何て綺麗なのだろうか。幸せに満ちている。愛で溢れている。
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