【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
その後、今度の日曜日に履歴書を持って『PURE EMPEROR』本社のビルに行くことが決まった。
私は履歴書用の小さな写真を撮り家に帰る。まだ母の帰っていない家は暗く、静まり返っていた。
私は電気だけ全部つけるとまっすぐ自分の部屋に入り、制服のブレザーを脱ぎ捨てる。
ブレザーのポケットから零れたスマホ。ぼんやりとそれを見ると、スマホの頭が緑色に点滅している。それは、着信があったという鬱陶しい通知。
開くと、蒼次郎から着信が入っていた。普段はほとんど電話なんてして来ないくせに、やはり、最近以前よりも距離感を保っているのを気にしているのか。
「……めんどくさ」
正直、蒼次郎に割く労力がとても勿体無い気がしてしょうがなく、かけ直すのもめんどくさくて、自然と身体が重たくなる。
でも……一応、ね。私は蒼次郎にとっては『彼女』という形の存在で、蒼次郎は私の『彼氏』という形の存在なのだから、そのままには出来ない。
この形の関係を受け入れたのは私自身。だから、めんどくさいでは片付けられない。こんな時に大人がどうするかなんて分からないけど、子供には子供なりの事情がある。