【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
自分の感情が良くないのは分かっている。私には蒼次郎がいるのに、タクを想うだなんて不謹慎にもほどがある。


そもそも私みたいな汚い大人になる事を止められない子供を、綺麗な大人のタクが見てくれるなんて事が起きる訳もない。だから、こんな気持ちは心の中で焼却してしまおう。


「美姫ちゃん美味しくなかった?もしかして、甘いもの嫌いだった?」


浮かない顔をしていたのだろう。穂純さんが心配そうに私に尋ねて来る。


「そんなことないです。とっても美味しいですよ。甘い物大好きです」


私は得意の笑顔の仮面を貼り付けて言う。得意の、外面だけの仮面を。


「ホント!?良かった!嫌いな食べ物無理に食べさせたんだったらどうしようって思ったよ」


そんな私に対して、穂純さんの眩しいくらいの素直な笑顔。私には痛すぎるよ。私には絶対そんな顔は出来ないから。


こんな人を想うタクが、私の事を好きになるなんて絶対無いって言われているみたい。
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