【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「…美姫、美姫の彼氏は、どんな人ですか?」


そんな美しいタクを見つめていると、タクから予想外の言葉。動かしたのは、タクのその言葉だった。


以前電話で少しだけ彼氏がいる事を話した事があったっけ。そんな事まで話してしまったあの時の自分を少し恨む。


「私の彼氏は……そうだな、ミントみたいな人です。爽やかで、優しい人」


だから、私みたいな女には不釣り合いなんだと思う。あんな人を大切に出来ない私には、尚更不釣り合いだろう。


タクは私の返答を聞いて、儚げに目を細めた。


「僕の大切な人は、そうだな、まるで太陽みたいな人です。どんな人の闇でも照らしてしまうような、そんな人」


タクの指す『太陽みたいな人』はきっと穂純さんの事だ。私の脳裏には、穂純さんの屈託のない笑顔が浮かんだ。


眩しくて、触れたら焼けて無くなってしまいそうな穂純さんのあの笑顔。でもタク、私の闇はあの人じゃ照らせない。あの人が笑う度に、私は闇を濃くするんだ。
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