【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
体中が痛んで、授業に行く気にもならない私は、一時間目を司書室で過ごし、一旦教室に戻り早退した。


蒼次郎が罪悪感漂う瞳で私を見つめていたが関係ない。今は誰とも喋りたくないし、顔も見たくない。


逃げるようにして学校の外に出ると憎らしいくらい晴天。空が笑っている。太陽も、もっと笑っている。それは私が見せる事のない満面の笑み。


一瞬お天道様に睨みを利かせ、行く宛てなんかない私は真っ直ぐ家に帰った。


今の時間なら母親だって仕事か、恋人のあの人のところにでも行っているのだろうし、一人にもなれるから都合が良い。


帰って寝よう。寝ている間だけは全てを忘れられるから。部屋のベッドで眠る事が、私の存在がこの世からログアウト出来る唯一の手段。


でも……忘れちゃいけなかった。汚い私に全てを忘れる居場所なんかないんだ。


それが私が生きながらに、成長する程に、息をする程に、周りの邪魔になっている事を忘れてはいけなかったのだ。
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