【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
一口目が終わって二口目に移ろうとしたが、緩く人差し指と中指の第一関節に挟んでいた煙草は私の手にはもう無い。


「んー、この煙草はタール数が大きいから僕には合いません。女子高生なのに凄いの吸ってますね。おじさんみたい」


私の後方右側からぬっと首を突き出して私の吸っていた煙草をくわえているのは、タク。


「なん……で?」


「ここは僕の近道なんです。通ったら見覚えのある女子高生が煙草吸ってるので、ナンパの一つでもしようと思って立ち寄ってしまいましたよ。こんにちは、美姫」


相変わらず私が煙草を吸っていることを怒らないし、おまけにこんな時間に学校にいないでこんなところにいる事すら聞かない変な大人だ。


それどころか吸っている煙草に対しての感想を述べて優しく微笑む辺り、タクらしいのかも知れない。


「相変わらず、変な人」


「んー、割と常識的な方だと思うんですが、確かに変なのかな。零さんを始め、僕の周りには変な人が多いから麻痺してるのでしょうね」


私の朝からの状況には似合わないタクとのその会話に、張り詰めていた何かが緩む。
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