【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
タクはふんわりと優しい笑顔を向ける。頬の左側に出来た笑窪が大人の色香を和らげる。


「……やっと素直に泣けましたね」


いつの間にかタク自身が胸ポケットから取り出したハンカチが私の頬を拭う。


私は言っている意味が分からず、頬を右手でそっと触れた。


すると、右手は温い水のようなもので少し濡れる。


「あ……う、うあ、う、う……!」


それが涙なんだな、と自覚したのは、自然と漏れた自分の嗚咽が耳に届いた時だった。


止めたくて。けれど止めたくない。止まらない涙と子供のような大きな嗚咽。


タクはそんなぐちゃぐちゃになった私を再び太陽の香りで包み込んだ。


小さい頃から泣かない子供だった私は、記憶の中でも一番泣いた。


幼い頃から感情の起伏が無くて気味悪がられたまま成長したのに……タクは、私の幼いながら積み重ねたものを、その温もりで簡単に崩してしまうね。


「大丈夫、今は我慢しないで」


タクは甘い音を吐く。柔らかく、優しく、何に例えたら良いのか分からないその声で。
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