【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
泣いて泣いて、満足するまで泣いた私は、タクに連れられてお店へと来ていた。
どうやら平日の昼はこの間の日曜日ほどの賑わいはないよう。
働いているのは大学生であるマサトと、見たことのない、細目の男の人。
色気のある大人担当だと思っていたマサトよりも更に色気を振り撒いていて、色っぽいを飛び越えて妖艶というのがまず第一に受けるインスピレーション。
白銀色ベースに、ラベンダーようなピンクのような不思議な色のグラデーションカラーにした髪の毛を男の人にしては長めに生やしている。
顔立ちは薄く瞳も細く、体型も痩せ型。細身のタクよりも更に細く、その細さが妖艶さを醸し出す要素になってる、そんな感じの印象だ。
「美琴、どうしたのです?また零さんに使われてるんですか?」
タクはその人の方に向かうと、笑顔で話し掛けに行った。
タクや私の存在に気付いた彼は、涼しげにつり上がった一重の糸目を不思議な形に更に細めて微笑む。
まるで狐のようなその顔は神秘的で、その妖艶さに息を呑む。
この人は男性とか、女性とか、そんな垣根を飛び越えた魅力を持っているような、そんな印象の人だ。