【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
タクに『美琴』と呼ばれた男の人はタクの呼びかけにマイペースに口を動かす。


「やっとまともに話が出来る奴が来たわ。零はまだ俺ん事を所有物だと思っとう。困ったもんじゃあ」


「まあ仕方ないでしょうね。君は今や零さんの幼なじみの所有物ですからね」


話している二人を見ていると、大喜さんとタクが話していた時の事を思い出す。タクはこの人とも、おそらく長い付き合いなのだろうと簡単に推測出来た。


「あ、すみません紹介しますね。美姫、こちらこの店の衣装担当をしているファッションスタイリスト兼デザイナー事務所に務める瀬田美琴です。ちなみに彼は僕と大喜と一緒に働いていたメンバーでもあります」


「ああ、後補足すると俺の兄貴なんだ」


話しに混ざって来たマサトと美琴さんを見比べる。


確かに似ているかもしれない。口元にある黒子とか、涼しげな目元とか、骨組みから細そうな体型とか。


ここでヘルプをしていたり、やけに親しかったり、ここの雰囲気に馴染んでいたりするのも、合点が行く。
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