【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「ここにいるメンツは皆、零さんの嫁さんの穂純に助けてもらった事があったんだ。もう一人の当時の従業員含めて四人、あいつには今でも頭が上がらねぇよ」


大喜さんは明るい髪の毛をがしがしと掻きむしりながらくしゃっと顔を歪ませて笑う。


ああ、大喜さんも穂純さんの事を好きだったのかな、と気付いてしまう。


最もそれは過去形で、タクのように現在進行形では無いとはっきり分かるけど。


「お互い訳ありなのには気付いてたんだけど、穂純がここに来るまではこう、触らぬ神に祟なし、みたいな感じで。なのに、穂純中心に俺達変わったんだよ、いつの間にか」


穂純さんはそれほど、色んな人にとって影響力を与える人なんだ。


「まあ、俺的にはタクさんには穂純より影響されてる人が今いるような気がしますがね」


「こほん、およしなさい大喜」


何故かニヤつく大喜さんを、タクは咳払いをしネクタイを緩めて注意した。


「ほーお、把握。やっぱりタクはロリコンやのう」


「美琴、何を把握した顔ですかそれ。二人してそういうの止めなさいよ、怒りますよ」


なんだかやはり、タクと大喜さんと、それから美琴さんの間には、切っても切れない絆みたいなものがあって。


それを築いたのは穂純さんなんだ、と思うと、私なんか彼女には到底及ばないんだって思う。
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