【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
結局タクは悩みに悩んだ末、自宅に私を連れて来てくれた。
タクの家は普通のワンルームマンションで、タクらしくきちっとした部屋だ。物はシンプルで茶色とオフホワイトで統一されており、オシャレではないけれどタクらしいすっきりした清潔な空間。
「とりあえずずぶ濡れですから、シャワーでも浴びて来なさい。風邪を引かなければ良いのですが……」
「あ、ありがとうございます」
手渡されたスウェットの上下とタオルを持って、指定されたお風呂場へ向かう。
蒼次郎の服やお風呂を借りた時には感じない緊張感。それは、シャワーを借りてスウェットを着ると、タクの香りに包まれていよいよピークに達する。
なんで私、あんな我が儘を言ってしまったんだろう。大人しく帰っておけば良かったのに、後悔する程大胆な事をしてしまった。
そういえば、初めて出会った日の夜、何の計画性も無くタクに電話をしてしまった時に意外と行動派だと言われたが、本当にそうなのかも知れない。