俺様当主の花嫁教育
「……いや、認めなくても、全力で抵抗してみろ。……じゃないと、つけ込むぞ」


そんな物騒な言葉を静かに紡いで、御影さんは私を畳の上に押し倒した。


「あっ……!!」


視界が回転して、梁の出た低い天井が、大きく目の前に広がった。
私の身体を跨ぐ御影さんの背中の後ろに、障子戸の上方のガラス戸から覗く大きな満月が見えた。


御影さんは、月明かりに包まれて、自分の着物の袷をグッと押し開いて、右の袖を抜いて肌脱ぎした。
引き締まった右半身が露わになる。
彼の身体の輪郭が月光に金色に縁取られて神秘的で、私は無意識にごくっと息をのんだ。


「……俺な、気付いたんだよ。志麻が西郷を見返す方法。何も、大和撫子になって本物の着物美人になるだけじゃない。お前がやる気なくしてるなら、この方が簡単だ」


何?と訊ねる余裕もなかった。
御影さんの両手が、私の着物の袷にかけられる。
あ!と声を上げる間もなく、力任せに広げられた。


はだけられた胸元に、御影さんの背から漏れる月明りが注ぎ込む。
白い肌が浮かび上がって、私は咄嗟に強引に緩められた袷をかき集めようとした。


なのに、その手を簡単に掴まれる。
そして、頭の上で一まとめに繋ぎ止められた。


「隠すな。お前の魅力を、俺の身体で教えてやる」
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