俺様当主の花嫁教育
再度丁寧な祝辞を述べて、エリカちゃんだけじゃなく会場中の女性の視線を独り占めしたまま、御影さんは私の手を引いて会場を後にした。
ただでさえ動き辛い着物に、狭い歩幅。
私は御影さんに引っ張られたまま、ほとんど小走りでついて行った。
それでも、息が上がる。
胸だけじゃなく何もかもが苦しくなって。
「み、御影さんっ……」
息を切らしながら彼を呼んだ。
私の呼びかけに、御影さんもようやく足を止めて立ち止まる。
披露宴会場を後にして、ホテルの広い通路で御影さんがゆっくり私を振り返った。
「な、なんてことするんですかっ……」
ほとんどテロ行為だ。
突然乱入した挙句、あんな風にいとも簡単に新婦の目を惹いて、西郷さんが霞んでしまうほどその場の注目を一身に浴びた。
プライドばかりが高い西郷さんが、今どんな屈辱を感じているか。
そう思ったら、とても憐れだった。
けれど……。
「スカッとしただろ」
御影さんは、悪びれた様子もなく、ニッといつもの太々しい笑みを私に向ける。
隠せない本心を言い当てられて、私は言い返すことも窘めることも出来ず、黙り込んでしまう。
御影さんは口元に笑みを湛えたまま、私に一歩近寄った。
この距離感に、ドキッとしてしまう。
「ちょっと可哀想なことしたが、作戦は大成功だ」
更に吐き出される自信満々の言葉に、私はただ目を瞬かせた。
「西郷を本当に悔しがらせるなら、このくらいしないと。あの男はへこまない」
そう言って、御影さんは私の顔を覗き込んだ。
漆黒の瞳が、まっすぐ私だけを映している。
ただでさえ動き辛い着物に、狭い歩幅。
私は御影さんに引っ張られたまま、ほとんど小走りでついて行った。
それでも、息が上がる。
胸だけじゃなく何もかもが苦しくなって。
「み、御影さんっ……」
息を切らしながら彼を呼んだ。
私の呼びかけに、御影さんもようやく足を止めて立ち止まる。
披露宴会場を後にして、ホテルの広い通路で御影さんがゆっくり私を振り返った。
「な、なんてことするんですかっ……」
ほとんどテロ行為だ。
突然乱入した挙句、あんな風にいとも簡単に新婦の目を惹いて、西郷さんが霞んでしまうほどその場の注目を一身に浴びた。
プライドばかりが高い西郷さんが、今どんな屈辱を感じているか。
そう思ったら、とても憐れだった。
けれど……。
「スカッとしただろ」
御影さんは、悪びれた様子もなく、ニッといつもの太々しい笑みを私に向ける。
隠せない本心を言い当てられて、私は言い返すことも窘めることも出来ず、黙り込んでしまう。
御影さんは口元に笑みを湛えたまま、私に一歩近寄った。
この距離感に、ドキッとしてしまう。
「ちょっと可哀想なことしたが、作戦は大成功だ」
更に吐き出される自信満々の言葉に、私はただ目を瞬かせた。
「西郷を本当に悔しがらせるなら、このくらいしないと。あの男はへこまない」
そう言って、御影さんは私の顔を覗き込んだ。
漆黒の瞳が、まっすぐ私だけを映している。