俺様当主の花嫁教育
「志麻の着物姿がイマ一歩で、西郷を見返すことが出来ないなら、こうするのが一番手っ取り早い」

「……え?」

「西郷の女の憧れを一身に受ける俺が、自分が手酷く扱った女を大事にすること。どうだ。気分いいだろ?」

「い、いいわけないじゃないですかっ!!」


強気な瞳に言い返して、私は御影さんの手を振り払った。
自分の手をギュッと掴みながら、一度グッと唇を噛む。


「こんなの……私の力じゃない。御影さんの力だけでっ……!!」


昂った気持ちを抑えられない。
私は勢いに任せてそう言い放った。
なのに。


「お前の力だ」


御影さんは薄い笑みをスッと引いて、静かにそう告げた。


「俺の心を虜にしたお前だから、使える力だ」


真剣な目をしてそう言われて、私はただ呆然とした。


何を言われているのかわからない。
だって、身に覚えもないことだから。
私の反応から心を読むように、御影さんはフッと柔らかい笑みを浮かべた。


「お前は俺を夢中にさせたんだから」

「……嘘……」

「嘘じゃない。最初から、俺は志麻を気に入っていた」


サラリと告げられる言葉に、思わずグッと詰まる。
疑心暗鬼のまま黙って目だけを宙に彷徨わせると、御影さんが視線を止めるように私の顎をグッと掴んだ。


「くそ生意気で腹立たしい女だったけど、そういう女を屈服させるのは楽しい」

「なっ……!!」

「一生懸命になってるお前は、可愛かった。言っとくが……。女を抱くのにあれだけ夢中になったのは、志麻が初めてだ」


淡々とそんなことを言われて、カッと頬に血が上るのを感じた。
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