俺様当主の花嫁教育
「……はい」


この人が、好きだ。
冷静な理性とか思考とか、そんなものかなぐり捨てられるくらい、私は今この人に恋してる自分を誤魔化せない。


「御影さんのこと……好きです」


人の結婚式に殴り込みをかけて、洗練された優雅さで滅茶苦茶にしてしまう人なのに。
それが些細な悪戯に思えるほど、この人が愛おしい。
私は、御影さんに一歩近寄った。
そして、その胸に顔を埋める。


「……だけど、ちょっと西郷さんが可哀そうです」


御影さんを目にした時の、西郷さんの狂ったような形相を思い出して、私は思わずそう呟いた。
はは、と乾いた笑い声が聞こえてくる。


「志麻が受けた屈辱と、俺が受けた積年の嫌がらせを加味すれば、あのくらい当然だ」


この根拠のない強気さもどうかと思うけれど、私に力をくれる言葉だ。
私を強くしてくれる彼だ。


「……ありがとう」


御影さんの背中に腕を回して、私は一言呟いた。
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