俺様当主の花嫁教育
「完璧じゃなくていい。その不足を一生かけて俺が補ってやる」


強気に言い捨てて、御影さんは畳の上に広げた黒地に金刺繍が施された豪華な帯を手に取った。


「俺は西郷じゃない。完璧なお人形さんじゃ、物足りないんだよ。そのくらいじゃなきゃ、楽しめない」


ニヤッと笑った後、一転して真剣な目をした御影さんが、私の身体に帯を巻いた。


「人間らしい欠点も兼ね備えた女じゃなきゃ、滾らない」


不遜にそう言い捨てて私を見上げる御影さんに、鼓動が限界を訴え始める。


「悔しきゃ、食ってかかって来い」


シレッと言い放つ御影さんに、私はただ唇を噛む。
そして、帯を結ぼうとした御影さんの頬に、両手を添える。
彼の一瞬の隙を突いて、身を屈めると唇にキスをした。


御影さんが小さく息をのむ気配を感じる。
意表を突けた。
それだけで満足して、私はゆっくり唇を離した。


「……愛してる」


頬が赤らむのを隠せないままそう呟くと、御影さんは一瞬目を丸くして、相変わらずの強気な笑みを私に向けた。


「こんな状況で、煽ってんのか」
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