俺様当主の花嫁教育
「……哀れよのう……」
額面通りに受け入れられないくらい、芝居がかった空々しい言い方。
オフィスビルの向かいのビルにある和風ダイニングのカウンター席で、私と並んだ同期の由香が、枝豆を摘みながらそう呟いた。
私はカウンターに置いたビールのジョッキを両手で支えるように持ちながら、ただ一点集中でカウンターの木目の模様をジッと見つめていた。
「まあ、西郷さんの言う通りなとこもあるよね。あんたの名前、ちょっと古風だし。名は体を表すって信じたら、心も和風な大和撫子、って先入観持ちそう」
そう。私の名前は、志麻。笠原志麻(かさはらしま)という。
昔から何度名前負けだと言われ続けたか。
私自身は、名前から感じとれる和風の雰囲気も趣味もない。
奥ゆかしい大和撫子には程遠いのだ。
「でも、半年も品定めした西郷さんもあっぱれだよね」
「……その結果、私は不合格。っていうか、第一印象からはマイナスされまくったってことだよね……」
そう。西郷さんの中では、名前のイメージが私の頂点だった。
知れば知るほど、私は彼の結婚相手からは遠のいていった。
そういうことなのだ。
なんか、哀れというより惨めだ。
私が自分に言い聞かせるように、彼との恋愛はスルーして結婚を夢見ていた間、彼は私にばってんをつけ続けていたんだから。
「……ただ振られるよりへこむ……」
カウンターにぺったりと頬をついて、大きな溜め息をつくと、由香は他人事のようにケラケラと笑ってくれた。
額面通りに受け入れられないくらい、芝居がかった空々しい言い方。
オフィスビルの向かいのビルにある和風ダイニングのカウンター席で、私と並んだ同期の由香が、枝豆を摘みながらそう呟いた。
私はカウンターに置いたビールのジョッキを両手で支えるように持ちながら、ただ一点集中でカウンターの木目の模様をジッと見つめていた。
「まあ、西郷さんの言う通りなとこもあるよね。あんたの名前、ちょっと古風だし。名は体を表すって信じたら、心も和風な大和撫子、って先入観持ちそう」
そう。私の名前は、志麻。笠原志麻(かさはらしま)という。
昔から何度名前負けだと言われ続けたか。
私自身は、名前から感じとれる和風の雰囲気も趣味もない。
奥ゆかしい大和撫子には程遠いのだ。
「でも、半年も品定めした西郷さんもあっぱれだよね」
「……その結果、私は不合格。っていうか、第一印象からはマイナスされまくったってことだよね……」
そう。西郷さんの中では、名前のイメージが私の頂点だった。
知れば知るほど、私は彼の結婚相手からは遠のいていった。
そういうことなのだ。
なんか、哀れというより惨めだ。
私が自分に言い聞かせるように、彼との恋愛はスルーして結婚を夢見ていた間、彼は私にばってんをつけ続けていたんだから。
「……ただ振られるよりへこむ……」
カウンターにぺったりと頬をついて、大きな溜め息をつくと、由香は他人事のようにケラケラと笑ってくれた。