俺様当主の花嫁教育
「今日はいない。ついでに言うと、他に師範も手配出来てないから、今日は俺が直々に教えるだけだ」

「なっ……! だったら今日はお休みにしてもっ……」


逃げる私に伸ばされる長い腕から必死に距離を保ちながら、私はそう反論した。
途端に、御影さんの眉間の皺が深まる。


「一日サボれば、お前はすぐ振り出しに戻る」


それは、この道のプロに言わせたらごもっともなのかもしれないけど。


「わ、私っ。振り出しに戻って困るほど、まだ身についてないしっ……」

「逃げるな。自分で脱げないなら、脱がしてやろうか?」


ニヤッと口元を歪めて笑う御影さんに、どうしようもなく鼓動が跳ねる。
私の反論なんか聞く耳持たないと言うように、御影さんの長い指が私のブラウスのボタンにかかって、私は慌ててその手を振り払った。


「やっ……! じ、自分で脱ぎますっ!!」


言った瞬間、しまった、と思った。
けれど。


「そ。じゃ、さっさとしろ」


御影さんはあっさりと手を引っ込めてくれた。
そして、その妖艶な瞳をまっすぐ私に向けて、私が服を脱ぐのを見守っている。


「っ……」


どういう羞恥プレイだ。
そんな目で見られたら、こんな状況じゃなくたってドキドキする。


「じゅ、襦袢貸してください」


御影さんに背を向けて、肩を縮ませながら、必死にそれだけを頼んだ。


「着れんの?」

「だって、羽織る物がなきゃっ……」

「……別に、本格的に下着まで脱がなくていいけど」

「それでも嫌なんですっ!」


真っ赤な顔を伏せながらそう叫んだ。
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