俺様当主の花嫁教育
見苦しい嫉妬。妬み嫉み。
そんな私怨で御影さんを悪く言ったのはわかっているから、ちゃんと謝罪させたいのに。


私の葛藤を見透かしたのか、御影さんはわずかに眉を寄せた。
そして、『仕方ないな』と小さな独り言を発してから、もう一度西郷さんに視線を落とした。


「……西郷、お前ほんと変わらないな。脳細胞、小学生の頃から既に死滅してるんじゃないのか?」

「は……?」


想定外の返しに、思わず目を見開いた。
御影さんは気にする様子もなく、ニッコリと外向けの笑みを浮かべる。


「色狂いの何が悪い。女の着物をはだけるには、それなりのテクも必要なんだよ。ま、『小学生』のお前ごときじゃ、志麻の着物を乱すことも出来ないだろうが」


堂々と笑みを絶やさずに言い切った御影さんに、西郷さんはすっかりのまれている。


自信のなさから生まれる余裕のなさ。
男としての風格もない。
吠え散らすしか出来ないからっぽな男。
それが今そこにいる西郷さんだ。


全てにおいて堂々とした御影さんとは、恐ろしいくらい真逆だ。


御影さんは、フンと小さく鼻を鳴らして私の肩を抱くと、一度も振り返らないまま正面ドアを出てオフィスビルから外に出た。
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