君の隣
──午後の外来診察。

 理名はいつものように、診察室で患者を迎えていた。

最後の枠でやって来たのは、60代の女性。

 数年前に乳がんを経験し、いまは慢性的な咳のために呼吸器内科に通っているという。

「はじめまして。

 今日はよろしくお願いします」

 理名が穏やかに挨拶すると、女性も微笑んで座った。

問診を進めながら、理名はふと、治療歴について聞いてみた。

 「ホルモン療法…今はもう、されていないんですね」

「ええ、一区切りついたので。

 でも、当時は正直、つらかったですよ。

 体も心も、なにひとつ思うようにいかなくて」

理名の指先が、ぴくりと動いた。

 思わず顔を上げる。

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