君の隣
──外来が終わり、理名は静かな廊下を歩きながら、ポケットの中で拳を握った。
医者である自分と、患者である自分。
その両方を否定しない。
怖い気持ちも、受け止める。
これが、理名の出した答えだった。
外の陽射しは強く、真夏の空はどこまでも青い。
カーテン越しのリビングは涼やかで、穏やかだった。
コットン素材のワンピースを身にまとう理名。
拓実は彼女の隣に腰を下ろして、静かに肩を預けていた。
「今日、ホルモン値は安定してるって言われた」
理名が、ぽつりと呟く。
「そっか……よかった」
拓実の声は、心底安心したようにほどけていた。
「副作用、全部なくなったわけじゃないけどね。
朝起きて、急に泣きそうになったり、何もしたくなくなったり、するんだ。
でも、前よりは、波の底が浅くなってきた気がする」
「理名が、そうやって。
しんどいって言えるようになっただけで、俺は嬉しい。
前までの理名なら、全部を独りで抱え込んでたでしょ?
睡眠薬自殺まで、考えるくらいには」
照れくさそうに笑って、拓実は理名の手を握った。
その掌はあたたかくて、やさしい。
医者である自分と、患者である自分。
その両方を否定しない。
怖い気持ちも、受け止める。
これが、理名の出した答えだった。
外の陽射しは強く、真夏の空はどこまでも青い。
カーテン越しのリビングは涼やかで、穏やかだった。
コットン素材のワンピースを身にまとう理名。
拓実は彼女の隣に腰を下ろして、静かに肩を預けていた。
「今日、ホルモン値は安定してるって言われた」
理名が、ぽつりと呟く。
「そっか……よかった」
拓実の声は、心底安心したようにほどけていた。
「副作用、全部なくなったわけじゃないけどね。
朝起きて、急に泣きそうになったり、何もしたくなくなったり、するんだ。
でも、前よりは、波の底が浅くなってきた気がする」
「理名が、そうやって。
しんどいって言えるようになっただけで、俺は嬉しい。
前までの理名なら、全部を独りで抱え込んでたでしょ?
睡眠薬自殺まで、考えるくらいには」
照れくさそうに笑って、拓実は理名の手を握った。
その掌はあたたかくて、やさしい。