君の隣
「去年の秋、理名の手術が決まる前──朱音先生に、相談したんだ。

 自分でも、検査を受けてみたくて。

 不妊の原因って、必ずしも女性側だけじゃないし……
 俺にも何かあるかもしれないって、そう思って」

「……え?」

 理名の目が見開かれる。

「結果は、問題なかった。

 でも俺、ずっと“自分が何もできてない”気がして、もどかしかったんだよ」

拓実は、理名の手を握った。

「理名ばっかり頑張ってて、痛い治療も、副作用も全部ひとりで背負ってて──

 なのに俺は“待ってるだけ”でいいのかって。

 だから、俺なりに“できること”を探したかったんだ」

その言葉に、理名の胸が静かに波打つ。

 
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