君の隣
ようやく駆け込んだ救急外来。

 ストレッチャーに横たわる理名が、目に入った。

「……理名!」

叫ぶ声はかすれて、涙と一緒に喉を突き上げた。

「なんで……こんな……」

朱音が脇を固め、麻未が静脈路を確保しながらバイタルを測定する。

 慎也は酸素マスクを装着し、モニターを確認する。
SpO₂は88%まで低下し、脈拍は50前後で徐脈傾向。

 血圧も低め。

 モニターの数字は警告のように赤く点滅していた。

「なぜ、気づけなかったんだ──」

理名の痛みを、孤独を、必死の声を。

 何ひとつ聞き取れなかった自分が、憎かった。

その時──

 ストレッチャーの周囲がざわついた。

「脈、下がってきてる……」
「血圧も……!」

「それでも心臓モニターが無音のまま──!」

朱音の叫びが、拓実の胸を裂いた。

(やめろ……そんなの、嘘だ……!)

震える手で理名の名を呼んでも、彼女のまぶたは動かなかった。


「──理名……っ!」

声にならない声が、喉の奥で潰えた。

それでも拓実は、彼女の名を繰り返した。

(どうして、こんなことに……)

彼女の肌は、ひどく冷たかった。

 触れる指先が、拒まれているように思えた。

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