君の隣
同じように努力してきたつもりなのに、自分には結果が訪れない──

 その悔しさと虚しさと、羨ましさと罪悪感が、ぐちゃぐちゃに渦巻いていた。

「……どうして、私じゃなかったの……?」

拓実は、言葉を探すように息をのんだ。
喉の奥に、言いたいことはたくさん引っかかっている。

それを、どう口にすればいいのか、分からなかった。

「……理名が、悪いわけじゃない」

 「そんなの、わかってる……

 でも、しんどい……」

「努力してるのに、報われないのは……
 こんなにも、惨めなんだね……。


 私の身体が、私の願いを裏切るの……

 もう、何も信じられない……」

静かな部屋の中、嗚咽だけがこだましていた。

 拓実は一言も否定せず、ただずっと理名を抱きしめてくれていた。

長い沈黙のあと、理名は、ぽつりと漏らした。

「少しだけ、治療を休みたい。

 私、今は……誰かと比べる前に、自分の心を守りたい。

 私、ずっと“頑張らなきゃ”って思ってた。

 でも、もう少しだけ……“頑張らない”時間が欲しい。

 私自身の心が、味方になれるように……したいの」

「──うん。

 理名がそうしたいなら、そうしよう。
それがいちばん、大事なことだから」

その言葉が、静かに理名の胸をあたためた。

 その夜、理名は拓実の腕の中で、ようやく深く眠ることができた。

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