君の隣
理名は、はじめて知った。

──拓実もまた、誰かに守られて生きてきた人だった。

 だからこそ、今は理名を守ろうとしてくれている。

「……嬉しいです。

 私も、拓実くんと一緒にいるときが、一番、自分を好きでいられる気がします」

母が、ふわりと目を細めた。

「それなら、もう大丈夫ね。

 理名さんはもう、うちの家族だから。

 ……ゆっくり、前に進んでいきましょうね」

そう言ってくれたとき、理名の中で、何かがほろりとほどけた。

 “家族になる”というのは、血のつながりだけじゃない。

 たった一人でも、自分を見て、信じて、抱きしめてくれる人がいること──

 それが家族なんだ。


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