君の隣
その日の夜。
静かな部屋のなかで、理名はソファにもたれていた。

 拓実が、キッチンからマグカップをふたつ持って戻ってくる。
 マグカップの中には、ミルクティー。

「お疲れ。

 甘いやつ入れてみた。
 
たまにはと思って。

 いつもブラックコーヒーばかりだと、飽きるし胃に悪いよ」

 「ありがとう……。

今日は、ちょっと泣きすぎたかも」

理名は小さく笑った。

「凛先生に、亡くなったお母さんの話、聞いたの。
 
……不妊治療して、私を授かったんだって。

 あと、華恋に、式場を案内してもらったの。

 すごくいいところだったから、今度は拓実とも一緒に行って、決めたいな。
 
みんな、いろんな想いをくれて」

拓実は隣に腰を下ろし、そっと肩を寄せる。

「嬉しいよ、そういう時間が持てて。

 ……でも、無理してたら言ってね。

 ちゃんと抱きしめるから」

「……それ、今言う?」

「今だから言う」

その言葉に、理名はくすっと笑って、テーブルにマグカップを置いた。

 
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