君の隣
拓実の胸にそっと寄りかかる。

「拓実の家族、すごく優しかった。

 “居場所ができた”って思えたの。

 あのとき、あなたが手を握ってくれたから。

両親がいない私だけど、本当の家族になれたみたいで、嬉しかった」

拓実の腕が、彼女の背にまわる。

「俺も、理名が隣にいてくれるだけで……

ちゃんと、自分が生きてるって思えるよ。

 ちょっと、おせっかいだけど。

 何かあれば、遠慮なく俺の両親に頼っていいよ」

「……私、再挑戦、してみたい」

ぽつりと、理名がつぶやいた。

「怖い。
 怖いよ?

 ……でも、ここで止まりたくない。

 あなたと……一緒に、家族になりたいの」

「うん。

 ……もう、泣かせない。

 何があっても、味方でいる。

 絶対」

ふたりの距離が、そっと近づく。

 頬に、唇が触れ──温もりが、すべてを溶かしていった。

夜の静けさのなか、心がまた、そっと前へと進んでいく。

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